フルオロウラシルは元々抗がん剤としてガン治療の臨床現場で使用されてきました。
内服薬として主に大腸がん治療に使われてきましたが、皮膚がんやその前駆症状の日光性角化症治療には、有効成分にフルオロウラシルを含む5-FU軟膏としても使用されています。
このように内服薬や軟膏、さらに注射などさまざまな形状のものがガンの化学療法に使われてきた実績を持っています。
抗がん剤の歴史は古く、各社からフルオロウラシルのジェネリック医薬品も発売されているほどです。

抗がん剤は様々な作用機序でがん細胞の増殖抑制作用を発揮しますが、フルオロウラシルは代謝拮抗薬に分類されます。
あらゆる細胞の増殖にはDNAに収納されている遺伝情報が必要不可欠になります。

無数の細胞の増殖を繰り返しても、ばらばらにならないのはDNAに基づいて正確に複製が生まれてくるおかげです。
ところでDNAを構成する塩基には、「プリン塩基」と「ビリミジン塩基」が存在しますが、後者の塩基配列の一部にフッ素を結びつけて合成した塩基がフルオロウラシルになります。
体内に投与されると、普通の塩基と誤認識されるため細胞内の核酸の複製がうまくいかず、がん細胞は自滅することになり、抗がん作用を発揮するわけです。

ところが最近になって、フルオロウラシルには、ほくろ・痣などの皮膚がん以外の良性の腫瘍やシミや皺の改善にも効果を持つことが判明し、美白化粧品の側面に注目を集めています。
しかし皮膚がんの治療に使われる5-FU軟膏などは、がん細胞の増殖を抑制する作用を持っているので効果の程は納得できます。
ほくろや痣を小さくしたりシミを薄くしたり、はたまた皺を目立たなくする効果というのは、抗がん剤とはかけ離れたイメージなので奇異に思われる方々も少なくないでしょう。
抗がん作用と美白化粧品の活用には、かなり開きがありますが、どうして審美的改善を目的にする使用が可能になってきたのでしょうか。

美白やスキンケアで用いられる「フロニダクリーム」

フルオロウラシルは、DNAやRNAの複製に必要な核酸の合成を阻害する代謝拮抗薬の特質を有します。
これをよりわかりやすいイメージで考えれば、異型細胞を破壊し新たな細胞による回復を目指す作用が抗がん作用のメカニズムの要諦になるので、この側面のメリットを活かして開発されたのがフロニダクリームになるのです。

フロニダクリームには有効成分にフルオロウラシルを配合した、シミや痣・ほくろの治療や皺の改善などの効能を持った軟膏薬になります。
痣やほくろなどは良性腫瘍に分類され、シミはメラニン色素の遺残物として類似した性格を持っている訳です。
がん細胞のように周囲への浸潤や破壊を伴うことはありませんが、本来の細胞のあり方から逸脱して、細胞が異常増殖した点ではがんとも共通性を持っています。
そこでフロニダクリームを塗布すると、異常増殖した細胞の成長や増殖を抑制しホクロや痣が縮小したり、シミの色味が薄くなるなどの治療効果を期待できる訳です。

さらにフルオロウラシルには古い細胞を除去するターンオーバーの効果も有しているので、美白やスキンケアにも効果を期待できるのです。
しばしば治療に難渋する肝斑などの頑固なシミにも有効なことが判明しています。

さらに皮膚に一次的な損傷を与える創傷治癒応答のおかげで、ターンオーバーが正常化する副次的作用を発揮することも知られているのです。
表皮の下の真皮層のコラーゲンやエラスチン生成も活発にし、肌にハリを回復させて、皺を目立たなくする効能も持っているとされています。

ただしフルオロウラシルは数多くのジェネリックが登場するほど古くからがん治療で使用されてきた実績を持ちますが、フロニダクリームには当然副作用の心配もあります。
特にフロニダクリームを使用する際には、日光性過敏症や色素沈着や炎症などの副作用に注意してください。